
地球温暖化
第12回
(図21)図Bは気温と大気中二酸化炭素濃度、図Cは気温と太陽光放射強度を示す(ともに過去400年)。[15]
気温は二酸化炭素濃度との間に強い相関を示す一方、太陽光放射強度ともかなりの程度一致した変動を示している。これにより、太陽の活動が活発化すると太陽光放射強度が大きくなり、この結果気温が上昇、更にその結果として、二酸化炭素濃度が増大する可能性が示唆される。
但し、太陽光放射強度の変動がさほど大きくはなく、気温を大きく変動させるほどの影響力はないのではないかとの疑念があるのも事実である。これに対しては次の Henrik Svensmark 等によるスヴェンスマルク説が解答を与える可能性がある (H. Svensmark et E. Friis-Christensen, J. Atmos. Solar-Terr. Phys., 1997)。
スヴェンスマルク説:
宇宙空間に大量に存在する微細な荷電粒子が常に地球に降り注いでおり、これは宇宙線と呼ばれる。約10億eV のエネルギーを有する宇宙線は成層圏を突破し、対流圏に侵入する。対流に入った荷電粒子の周囲に水蒸気が吸着し、水滴となりこれが雲を形成する(この原理自体は、霧箱の原理と同じである)。
太陽の放射する荷電粒子である太陽風は、エネルギーが小さいため地球の磁気圏を突き抜けて大気圏に侵入することはできない。しかし、太陽の活動が活発化すると磁気雲と呼ばれる磁場を伴った太陽風が惑星間を吹き荒れ、これが宇宙線を散乱させる。このため、太陽の活動が活発化すると地上に降り注ぐ宇宙線が減少し、この結果雲の量が減る。雲は太陽光を反射する性質があるため、雲が減少することはアルベドが減少することを意味し、その結果地上に降り注ぐ太陽光の量が増大して、気温が上昇する。一方、太陽の活動が鈍化すると地上に降り注ぐ宇宙線が増大し、雲の量が増える。このためアルベドが増大し、気温が低下するのである。
(図22)18年間における宇宙線(実線)の減少量と雲量(記号)の変化[16]
宇宙線の量が減少すると雲の発生量が減少し、両者の間に極めて良い一致が見られる。即ち、宇宙線の飛来が阻害されると、雲の発生が抑えられることを強く示唆している。 (H. Svensmark et al.)
この説はかなりの程度の説得力を持っていると考えられるが、実験的に立証されているわけではなく、疑念を呈する科学者も多いのも事実である。
以上のように詳細な機構自体は必ずしも明らかではないが、太陽の活動の変動が気温を変動させ、単にその結果として大気中の二酸化炭素濃度が変化している可能性が高いことが示された。即ち、二酸化炭素の放出量を削減しても気温の上昇を抑えることは望めないと言える。
【参考文献・資料】
[15] Overpeck, J. et al., Science, 278 1251, (1997)
[16] Svensmark, H. et. al., Physical Review Letters 81 (22): 5027, (1998)
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