
地球温暖化
第14回
また、昨今異常気象が地球温暖化と結び付けられて、重大な問題として取り上げられる傾向があるが、異常気象について以下で検討したい。
(図25)昨今異常気象の頻発について懸念されることが多いが、実際に異常気象なるものがそれほど重大かつ稀なものかについて検討したい。異常気象とは月平均気温や月間降水量が、過去30年間の平均値から 2S 以上の偏差(ずれ)を生じることをいう(S は標準偏差)。そのような偏差が生じる確率は 5% = 1 / 20。つまり20回に一回は「異常」であることになる。20ヶ月に一回、即ち2年に一回は異常気象が生じるということで、異常気象とはその名にも関わらず、実際にはありふれた現象である。[13]
また、温暖化による悪影響ばかりが強調されるが、寒冷期が到来すると飢饉が頻発することにも留意されたい。これは年平均気温が15度を下回ると農業がほぼ不可能になること、及び大気循環が少なくなり、乾燥化が起こるためである。また、約1万年前からの温暖化により日本では縄文時代を迎え、その後四大文明が発達するに至った。温暖化の方が望ましいというわけではないが、温暖化即ち悲惨な未来と判断するのは、短慮に過ぎると言わざるを得ない。最後に主な寒冷期の到来が与えた歴史的影響をあげておくこととする。
寒冷期の到来による歴史的影響:
西暦100年ごろ:フン族の西方への移動に触発されたゲルマン民族の大移動。これによりローマ帝国の衰退が進んだ。
西暦13世紀:ウイグル帝国崩壊後の北アジアを統一したモンゴルの南方および西方への移動、征服。しかし、本拠地モンゴル高原の更なる冷却乾燥化によりモンゴルは衰退し、中原からの退去を余儀なくされた。
西暦17世紀:16世紀のアメリカ大陸征服により大量の金が流入して未曾有の好景気(価格革命、金融革命)を迎えていた西欧は、17世紀に訪れた急速な寒冷化の影響を受け、ペストの流行、戦争の多発(30年戦争など)により「17世紀の危機」を迎えた。
西暦18世紀:アイスランドのラキ火山の噴火と浅間山の天明の大噴火(1783年):大量の火山灰が太陽光線をさえぎり、約10年間にわたり地球全体の寒冷化を招いた。日本では天明の大飢饉が発生、西洋でも飢饉が発生し、1789年のフランス革命の原因のひとつとなったといわれる。
次に代替エネルギー開発との関連についても述べておきたい。以上のように二酸化炭素が地球温暖化の原因と考えられる根拠は無いといえる。それゆえ、二酸化炭素の削減を目的とする代替エネルギーの開発・導入はその根拠を欠くといわざるを得ない。無論、それ自体が人類の福祉に役立つと思われる新技術の開発は継続すべきであろうが、誤った根拠による開発では将来に禍根を残しかねないことに留意すべきである。
結論:
以上により次のことが示された。
- 地球の気候はこれまでも決して安定したものではなく、昨今のような気温の上昇は人類の産業活動開始以前にも見られたものである。
- 産業革命以降気温が上昇したのは事実であるが、一貫して気温が上昇し続けているわけではなく、数度の気温の急激な低下も経験している。
- また産業革命以降の気温の上昇は歴史上、突出したものではない。
- 近年の温暖化の原因は二酸化炭素の人為的な放出ではなく、温暖化の単なる結果として二酸化炭素濃度が上昇したに過ぎない。実際にはその原因は太陽活動の活発化にある。
- 現時点では気象現象の長期予測に用いるに足る信頼できる気象モデルは存在しない。また現在のコンピューターの能力の限界により、地球規模の気象シミュレーションは信頼すべき結果を与えるものではない。
- 昨今の気温の上昇により、極地内陸部への降水量が増大し、グリーンランド及び南極大陸内部の氷河が発達する傾向が見られ、むしろ海水面が下降する可能性がある。
- 以上から二酸化炭素の削減を目的とした代替エネルギーの開発・導入はその根拠がない。ただし、二酸化炭素削減以外の正当な目的を持っての開発であれば、またそのエネルギーが人類の福祉に寄与するものであれば、無論促進すべきであろう。
【参考文献・資料】
[13] 根本順吉著 中公新書『超異常気象』(中央公論社, 1994)
|